危険予測をすることで余裕を持つことができる


危険予測とは何か?

バイクの免許を持っている方なら、教習所でこのテーマで教習を受けたことを思い出すのではないでしょうか。
その名前のとおり、「危険を予測するための教習」です。
通常はバイクを運転するうえで危険が発生しそうなシチュエーションを想定し、「あなたならどうするか?」を問うなどしてディスカッションを重ねていきます。
講師から一方的に習って覚えるというよりは、自分で考え、議論を交わしながら解答を身につけていく面が強いのも特徴です。

実際の教習所では、シミュレーターを使用しながら行われるのが一般的です。
なぜ危険予測を行うのかというと、危険が起こりそうな状況を把握し、「こういうシチュエーションではこう対応すれば危険を回避できる」という知識にもとづいて対処すれば、実際に危険を回避できる可能性が大幅に高まるからです。

危険予測はどうして重要なのか?

バイクだけでなく自動車を含めた交通事故の実体を調べたデータでは、交通事故は「認知」「操作」「判断・予測」のミスが大きな原因となるパターンが大半を占めていることが明らかになっています。
つまり、運転が下手で事故を起こすのではなく、とっさの判断や操作が適切ではなかったことで起こすことが多いわけです。
言い方を変えれば、運転が上手な人でも事故を起こすリスクはいつでもある、というわけです。

人間が危険を察知してから実際に行動に移すまでには、タイムラグが存在します。
例えばこれは自動車の運転の話ですが、時速40kmで走行している車のドライバーが急に歩行者が道に飛び出してきたとき、ブレーキを踏むなどして反応できるまでには1.5秒くらいかかると言われています。
しかし、これが「もしかしたら危険があるかも」と警戒・注意したうえで運転をしていた場合は半分の0.75秒で反応できるとされています。

具体的な数字はともかく、バイクでも同じことがいえます。
こうしたことからも、危険予測がいかに事故を防ぐ上で重要な意味を持っているのかがうかがえます。

危険予測はどうやって行う?

先程も少し触れましたが、危険予測はシミュレーターを使用しつつディスカッションの方式で行われるのが一般的です。
複数の教習生が参加したうえで、運転をしながら「こうしたシチュエーションでは自分はこういった判断/行動を選択する」などと議論を行うのです。
そのうえで講師のアドバイスなども聞きながら、それぞれのシチュエーションでもっとも事故のリスクが少ない選択を模索し、学んでいくことになります。

運転中の危険なシチュエーションに対する反応に関してははっきりとした正解がないこともあり、また人によって意見・判断が異なることもあります。
ですから講師が一方的に教えるのではなく、教習生が話し合いながら「できるだけリスクが避けられる答え」を探していくのが重要なポイントとなっています。
「危険予測」という名前の通り、「危険を予測する」意識が必要になるほか、運転中の安全確認など基本中の基本の作業も改めて問われることになります。